実は、インビザライン治療が計画通りに進まず、「失敗した」と感じてしまうケースは少なくありません。原因は、マウスピースの装着時間不足といった自己管理の問題から、歯科医師の経験不足や不適切な治療計画までさまざまです。
しかし、失敗には必ず原因があり、事前にポイントを押さえておけばそのリスクは減らせます。
そこで本記事では、インビザラインの代表的な失敗例から、根本的な原因、後悔しないために今日から実践できる5つの対策まで解説します。
インビザラインが失敗?よくある3つの実例

まず、インビザライン治療における「失敗」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。ここでは、実際に起こりうる代表的な3つのケースをご紹介します。
計画通りに動かず治療期間が大幅に超過するケース
インビザライン治療で最も多い失敗例が、歯が計画通りに動かず治療期間が大幅に延びてしまうことです。
これは、シミュレーション上の歯の動きと、実際の体の反応にズレが生じることが主な原因です。特に、患者さん自身のマウスピース装着時間が不足していると、歯を動かす力が足りずに計画が遅れてしまいます。
治療期間の延長は、精神的にも金銭的にも大きな負担となり、「失敗した」と感じる大きな要因になります。
治療後に噛み合わせが悪化し、日常生活に支障をきたすケース
歯並びは綺麗になったのに、噛み合わせが悪化してしまい、生活に支障が出るという深刻なケースもあります。
見た目の美しさだけを優先し、奥歯の噛み合わせなど機能面を考慮しない治療計画を立ててしまうと、このような問題が起こりやすくなります。
「出っ歯は改善されたけれど、奥歯がしっかり噛み合わなくなり、食事の際に麺類などがうまく噛み切れなくなった」「顎が疲れやすくなった」という声も聞かれます。
歯茎の退縮や歯根の吸収などが起きたケース
不適切な治療によって、歯茎が下がったり(歯肉退縮)、歯の根が短くなったり(歯根吸収)する健康被害が起こるリスクもあります。
これは、歯を無理に動かそうとして強すぎる力がかかったり、歯周病がある状態で矯正を進めてしまったりすることが原因です。
歯とそれを支える組織には、動かせる限界があります。短期間で治療を終わらせようと無理な計画を立てた結果、「前歯の歯茎が下がり、歯が以前より長く見えるようになってしまった」という事例があります。一度下がった歯茎や短くなった歯根は、基本的には元に戻りません。
インビザラインで失敗する3つの原因

それでは、なぜこのような失敗が起きてしまうのでしょうか。
マウスピースの装着時間が不足していた
インビザライン失敗の最大の原因は、患者さん自身によるマウスピースの「装着時間不足」です。
インビザラインは、1日20時間以上(推奨は22時間)マウスピースを装着し、持続的に弱い力をかけることで歯を動かします。この時間が短いと、歯を動かす力が足りないばかりか、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きてしまい、計画が全く進まなくなります。
「仕事の付き合いで外食が多い」「つい間食をしてしまう」などの理由でマウスピースを外す時間が長くなり、1日の装着時間が15時間程度に落ち込んでしまうと、効果は著しく低下してしまうので注意しましょう。
インビザラインに適していない症例だった
インビザラインは万能ではなく、得意な歯の動きと不得意な歯の動きがあります。抜歯が必要なケースや骨格に問題があるケースなど、ワイヤー矯正の方が適している難しい症例も存在するのです。
例えば、顎の骨格が原因の受け口や、歯を大きく動かす必要がある重度の出っ歯などを、無理にインビザラインだけで治療しようとすると、中途半端な結果に終わってしまう可能性があります。
歯科医師の経験が不足していた
インビザライン治療の結果は、担当する歯科医師の経験と技術に大きく左右されます。インビザラインは、AIが自動で歯を動かすわけではありません。歯科医師が立てる治療計画(クリンチェック)の質が、そのまま治療の成否に直結します。
経験の浅い歯科医師の場合、歯の動きを正確に予測できずに非現実的な計画を立ててしまうこともあります。また、治療中にトラブルが起きた際に適切な対処ができなかったりするリスクも否定できません。
インビザラインの失敗を防ぐ5つの対策

信頼できるクリニック選びと並行して、患者さん自身の心がけも治療の成功には不可欠です。ここでは、インビザラインの失敗を防ぐ対策を解説します。
信頼できる歯科医師・歯科医院を選ぶ
歯科医院選びは特に重要です。カウンセリングへ行く前に、以下のポイントを確認することで、ご自身に合った医院を見つけやすくなります。
- 資格と症例数が公開されているか
- 治療計画の説明が具体的で丁寧か
- 費用・保証が文書で提示されるか
- セカンドオピニオンを奨励しているか
ネットで高評価のクリニックでも、実際にカウンセリングに行ってみたら「なんとなく雰囲気が合わない」「説明が分かりにくい」と感じることは少なくありません。その直感を無視して契約してしまうと、長い治療期間が苦痛になってしまいます。
カウンセリングで「この先生になら任せられる」と心から思えるかどうかを最優先して選びましょう。
装着時間を見える化し習慣化する
毎日のマウスピース装着時間を記録して「見える化」することが、失敗を防ぐ効果的な方法です。「だいたい20時間は着けているはず」という感覚的な管理では、自分でも気づかないうちに装着時間が不足してしまう可能性があります。
スマートフォンのリマインダー機能や、インビザライン専用の管理アプリなどを活用しましょう。
定期通院を欠かさない
歯科医院から指示された定期通院は、特別な事情がない限り、絶対に欠かさないようにしましょう。
定期通院は、治療計画と実際の歯の動きにズレが生じていないかプロの目で確認し、問題があれば早期に軌道修正できます。
通院時には、マウスピースが歯にしっかりフィットしているか、歯の表面につけたアタッチメントが取れていないかなどをチェックしてもらえます。
セルフケアでむし歯・歯周病リスクを下げる
もし治療中にむし歯や歯周病になってしまうと、そちらの治療を優先するために矯正を一時中断せざるを得ません。
結果として治療期間が延びてしまい、失敗の原因となります。
マウスピースを装着する前には、必ず歯磨きをするのはもちろんのこと、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間の汚れもしっかりと除去する習慣を身につけましょう。
異常を感じた時の連絡手順を決めておく
「マウスピースが割れた」「アタッチメントが取れた」など、万が一のトラブルに備え、「こんな時はどうすればいいか」を事前に確認しておきましょう。
異常時に迅速かつ適切に対応することで、問題の悪化を防ぎ、治療計画への影響を最小限に抑えられます。
また、治療開始時に、「緊急の場合はまずクリニックに電話するのか、それともLINEなどで写真を送るのか」「その間、今使っているマウスピースを着け続けるべきか、一つ前のものに戻すべきか」といったルールを確認しておくと、いざという時に慌てずに行動できます。
まとめ
インビザラインの失敗を避けるためには、1日20時間以上の装着時間を守り、セルフケアや定期通院を徹底するといったご自身の努力が必要です。
それに加えて、治療の成否を大きく左右するのが「信頼できる歯科医師・クリニック選び」です。カウンセリングで治療計画や費用について丁寧な説明があるか、実績は十分かなどをしっかり見極めましょう。
後悔のない矯正治療にするためには、人任せにせず、ご自身でも正しい知識を身につけることが大切です。
当院では、マウスピース矯正Oh my teethをはじめ、インビザラインも取り扱っています。装着時間の管理もしやすく、24時間LINEサポートで治療中の不安も解消できます。
無料検査を実施していますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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